JIS X0510(2004)と(1999)の比較

since:2004-12-26
last update:2004-12-26
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0、いきさつ

JISは5年を越えない期間で見直しが行われます。JIS X0510「二次元コードシンボル-QRコード-基本
仕様」については今年2004年で1999年の制定より5年が経過しているため見直しが行われJIS X0510(2004)に
改定されました。
ここでは今回の改定に関してエンコード部分に関する主な変更点を確認していきます。

1、QRコードのモデル

2004年版規格では新規用途・オープンシステムではQRコードモデル2またはマイクロQRコードが推奨される
旨の記述があります。そのためか1999年版規格では本文に記載のあったQRコードモデル1が2004年版規格では
付属書での記載となりました。また新たにマイクロQRコードが付属書に記載されました。

2、用語

JIS X0510(2004)では用語が少し変わりました。ただし用語の英文表記は変わっておらず、逆に英語の直訳の
ような感じになっています。
主な用語の対比は下記の通りです。

JIS X0510(2004)英文表記JIS X0510(1999)
残余ビットremainder bit剰余ビット
残余コード語remainder codeword剰余コード語
構造的連接structured append連結


#「連結」という言葉は結構普及しているので、今後「構造的連接」という言葉が一般的に
 なるかは少し微妙な気がします。少し長くて言いにくいですし。

3、8ビットバイトモード

QRコードの内部エンコード方式のひとつに全てのバイナリデータをエンコードできる8ビットバイトモード
があります。このモードにおいて参考として以下のようなことが記述されています。以下要点抜粋。

使用する符号化文字集合は、QRコードを使用するアプリケーションで指定する符号化文字集合とする。
符号化文字集合がアプリケーションによって異なるとシステムが複雑になるので、国際的なアプリケーションはJIS X0201
ISO 8859-15,JIS X0211-1(UTF-8)の使用が推奨される。
各国国内に限られたアプリケーションではISO 8859の各パートの使用を、日本ではJIS X0201の使用が推奨される。


#個人的には明確に文字コードを指定する仕組みが導入されればよいと思うのですが..
 いずれにしても一方でシフトJISに基づいた漢字モードがあって、もう一方では国際的なアプリではUTF-8を
 推奨してたりと少しポリシーに欠けるような感じがします。UTF-8が世の中を席捲してしまえば問題は少ない
 のでしょうが現実は...場合によっては問題をおこしそうです。

4、マスク処理

2004年版規格ではマスクの評価方法が少し変更されました。

特徴評価条件失点
同色の行/列の隣接モジュールモジュール数=(5+i)3+i
同色のモジュールブロックブロックサイズ 2×23
行/列における1:1:3:1:1(暗:明:暗:明:暗)のパターン1:1:3:1:1比率のパターンの前又は後ろに比率4の
幅以上の明パターンが存在する。
40
全体に占める暗モジュールの割合50±(5+k)%~50±(5+(k+1))%10×k

変更されたのは3つめの1:1:3:1:1のパターンの部分で、「比率4の幅以上の明パターン」の条件が加わりました。

また参考として具体性のある例が記載されました。
1999年版規格では解釈の仕方が一通りではないように思える部分があり、今回の改定によるこの記述の追記は
大変有益に思えます。

1つめの条件については例えば連続5個の同色モジュールは失点3、6個なら失点4
2つめの条件については例えば同色の3×3のブロックがあった場合、2×2が4つあるので失点12
等です。


#ちなみに筆者も1999年版規格ではこの部分の解釈に困っており、今回の改定ですべて解決と思ったのですが
やはりなぜかマスクパターン参照子が一致しないのです。2004年版規格にあるQRコードモデル2は、図1、
図21、付属書G図2などがありますが、これらと完全に一致させることが出来ませんでした。
もちろん筆者の方法に問題があると思うのですが..

筆者的には付属書Gにて下表のような各マスクパターン参照子毎の失点の計算結果を載せてほしかったです。
マスクパターン参照子N1N2N3N4失点合計
000




001




010




:




111





まぁ逆にJIS X0510(1999)の付属書8の結果とJIS X0510(2004)の付属書Gの結果がマスクパターン参照子が
異なっている結果となっていることから、やはりマスクパターン参照子は「極端な場合だけ省ければよい」と
いう解釈で問題ないと思う訳です。

下の表はJIS X0510(1999)の付属書8、JIS X0510(2004)の付属書Gで用いられているデータ列"01234567"を
バージョン1、誤り訂正レベルM、数字モードでエンコードした時の、それぞれのマスクパターン指示子
でのQRコードを示しています。いずれのマスクパターン指示子でも問題なく読み取れることがわかります。
(実際に読み取り時誤り訂正機能が働いていないことが分かればなお明快なのですが)


マスクパターン指示子QRコード備考
000000
001001
010010JIS X0510(2004)
付属書Gの結果
011011JIS X0510(1999)
付属書8の結果
100100
101101
110110
111111

(おわり)


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