RStacker説明書
このドキュメントはRStacker 0.6.4の説明書です。
更新日2017/8/12
Copyright 2011-2017 Y.Swetake (swetake.com)
All Rights Reserved.
目次
概要
動作環境
セットアップ
画面説明
処理概要フロー
著作権
概要
このプログラムはRAW(非圧縮DNG形式のみ、CR2形式やRAF形式にも暫定対応)のコンポジットや減算ができるプログラムです。
このプログラムの主な特徴は以下の通りです。
・RAWベースのマスターダークフレーム作成
・RAWベースのダーク減算
・RAWベースのフラットフィールディング
・RAWベースの静止コンポジット(平均値、中央値、明(最大)、暗(最小)、標準偏差範囲外除外、標準偏差範囲外中央置換)
いずれも非圧縮DNGを読み込み、非圧縮DNGを出力します。
動作環境
プログラム動作に必要なもの
・WindowsOS (動作確認済みOSはWindows7 Home Premium)
・.net framework 2.0(以上)ランタイム
動作確認フォーマット
・非圧縮DNG(EOS Kiss X2 から出力したCR2をAdobe DNG Converter 6.6で変換したもの)
Adobe DNG Converterの設定はDNG1.3互換、非圧縮、リニア画像:なし、Jpegプレビュー:なしです。
その他EOS Kiss X4, EOS 60D, D700, NEX-5, NEX-5N, X-E2由来のDNGでも動作実績があります。
・CR2 (EOS Kiss X5, EOS Kiss X50で動作確認)
・RAF (X-M1, X-E2で動作確認)
(DNGの注意)
・DNGのJpegプレビューは「なし」を推奨としています。これはRStackerではJpegデータの更新を行わないためです。
なおJpegプレビューデータが存在しても動作します。
もしDNG Codec等で動作が遅くなるのが気になる方は、Jpegプレビューデータを埋め込まれたものをお使いください。
・DNGのバージョンはDNG1.3を推奨としています。
DNG1.4以降のDNGファイルは画像データのハッシュ値計算の新しいアルゴリズムが追加されており、RStackerはこのアルゴリズムに対応していないためです。
DNG1.4仕様のファイルでも処理自体は可能ですが、別のアプリケーションで開いたときにファイル破損の警告が出る場合があります。
・リニア画像には対応していませんので、必ず「なし」にしてください。
(CR2の注意)
・CR2内部のJPEGデータは変更しません。そのため、サムネイル画像などは処理前の画像になります。
・CR2内部のIFD2縮小非圧縮データは更新していますが、カラーバランスが崩れている場合があります。
このセクションのデータは、たとえばDPPのツールパレットの画像やヒストグラムに影響します。
DPPでメイン画面にRAWを読み込むとき、読み込みが完了するまでの間、この画像が表示されますので、
読み込み中の画像と読み込み完了時の画像で色調に差があるようでしたら、問題がある状態と思われます。
(RAFの注意)
・X-Trans CMOS以外のセンサー搭載機のRAF形式は正常に動作しない可能性大です。
・RAF内部のJPEGデータは変更しません。そのため、サムネイル画像などは処理前の画像になります。
セットアップ
1.RStacker_X_X_X.zipを解凍してください。
2.setup.exeを実行してください。
3.RStackerとDNG Converter Launcherの2つのプログラムがインストールされます。
RStackerを実行してください。
※DNG Converter LauncherはAdobe DNG Converterのフロントエンドです。
DNG変換時にファイル名に感度情報や露出時間情報を付加することができます。実行にはAdobe DNG Converterが必要です。
画面説明
静止コンポジット/マスタフラット作成タブ

[元ファイルリスト]
コンポジットする元ファイルの一覧が表示されます。
エクスプローラからドラッグアンドドロップすることでも入力することができます。
[追加ボタン]
元ファイルリストにファイルを追加するダイアログを表示します。
[クリアボタン]
元ファイルリストをクリアします。
[ダーク減算する]
チェックを入れると元ファイルリストにある個々のファイルに対してダーク減算します。
エクスプローラからドラッグアンドドロップすることでファイルを指定することもできます。
[平均、中央、最大、最小、標準偏差範囲外除外、標準偏差範囲外中央置換ラジオボタン]
コンポジットする計算方法を指定します。方法は平均、中央、最大、最小、標準偏差範囲外除外、標準偏差範囲外中央置換の6種類のうちのひとつになります。
標準偏差範囲外除外、標準偏差範囲外中央置換は10枚以上での利用が推奨されます。
[Rawレベルメディアンフィルタチェックボックス]
ノイズ除去のためのメディアンフィルタを行うか否かを指定します。
メディアンフィルタのアルゴリズムは後述の設定画面で設定できます。
[0値ピクセルにRawメディアンフィルタ]
明度が0のピクセルにメディアンフィルタを適用します。
メディアンフィルタのアルゴリズムは後述の設定画面で設定できます。
[名前を入力する]
コンポジットしたファイルに対して手入力で名前を入力します。
[自動ネーミング]
コンポジットしたファイルに対して自動で名前をつけます。
日時情報や処理内容を付加したり、接頭辞をつけることができます。
[各色分離出力]
RGBそれぞれについてファイルを出力します(3つのファイルを出力します)
ファイル名にはそれぞれR,G,Bが自動的に付加されます。
マスタダーク作成タブ

静止コンポジット/マスタフラット作成タブとほぼ同様です。
ここではダーク減算およびメディアンフィルタを実行できません。
ダーク&フラット適用タブ

元ファイル、ダーク減算、出力ファイルは静止コンポジット/マスタフラット作成タブとほぼ同様です。
[フラット処理をする]
元ファイルの個々のファイルに対してフラット処理を行います。
エクスプローラからドラッグアンドドロップすることでファイルを指定することもできます。
[色毎に指定する]
フラット処理を行うファイルをRGBの色毎に指定します。
[出力ファイル]
すべて自動ネーミングになります。また自動的に日時情報が付加されます。
設定タブ

[言語]
言語を選択します。英語と日本語が選択できます。初回およびバージョンアップ直後は英語になっていますので必要に応じて日本語にしてください。
[ログ]
ログレベルを設定します。OFFではログを出力せず、,ERROR,WARN,INFO,DEBUG,ALLの順に詳細なログを出力します。
ログファイルは [APPDATA]\swetake.com\RStacker に出力されます
[登録された有効領域(DNG起源)を使う]
DNGファイルに登録されている有効領域情報を他の形式のファイルを利用するときも利用します。
一般的にDNGは、メーカー公称の有効領域よりも広い実質有効領域の情報を持っていますので、これを利用します。
事前に同じカメラ機種のDNGファイルを登録する必要があります。
[有効領域の登録]
DNGファイルから有効領域情報を取得し、登録します。
[登録リストの表示]
登録されたカメラ機種と有効領域とCFAの情報を表示します。

[標準偏差範囲外関連]
標準偏差範囲外除外、標準偏差範囲外中央置のモードは、μ±nxσ範囲外の値を外れ値として除外または中央値置換します。
μ:平均値、σ:標準偏差です。
係数:標準偏差の倍数を指定します。上記のnに該当します。
繰り返し:繰り返し回数を指定します。
なお上記のσは本来は不偏標準偏差を使用すべきですが、このプログラムは処理速度を優先するため標準偏差を使用しています。
[フラットフィールディングの基準点]
フラットフィールディング演算に使用する基準点を変更できます。
通常は平均で問題ないと思われますが、諧調を少しでも失いたくない場合にパーセンタイル点や絶対値で指定できるようにしています。
[最大スレッド数]
演算に利用する最大スレッド数を指定します。デフォルト値はCPU数です。(*の印がついています)
[全読み込みを行う最大ファイル数]
平均モード時に、指定したファイル数以下のとき、すべてのファイルをいったんメモリにすべて読み込みます。
それ以外の時は逐次読み込みになります。
メジアンモードはアルゴリズムの特性上、強制的に全読み込みに、最大、最小モードは逐次読み込みになります。
[Rawレベルメディアンフィルタ]
赤、緑、青それぞれのチャネルでメディアン演算を行う範囲を指定します。
大きくすると処理にかなりの時間がかかりますので、注意が必要です。
[最小値がゼロになるようシフトする]
メディアンフィルタ処理後に最小値がゼロになるよう、減算します。
静止コンポジット/マスタフラット作成処理概要フロー
ダーク&フラット適用処理概要フロー
処理する画像サイズが同じ場合に限り、ファイル形式を混在して処理できます。
たとえば複数のCR2ファイルに対して、DNG形式のマスターダークを減算し、平均コンポジットを行うということができます
CR2形式は実質有効領域をもっていない(と思われる)ため、あらかじめ同じカメラ機種のDNGファイルから有効領域情報を取り込んでおく必要があります。
コンポジット系の処理はソースファイルの一番上のファイルの形式で出力されます。
適用系の処理は、各ソースファイルの形式でそれぞれ出力されます。
著作権
このプログラムの著作権は作者であるY.Swetakeにあります。
このプログラムはフリーウェアです。自由に使用しても結構です。
このプログラムは以下の資料およびプログラムを参考・使用しています。
使用した各プログラムのライセンスはオリジナルに従います。
ログの出力にはApacheProjectのlog4net (http://logging.apache.org/log4net/index.html) を使用しています。
免責事項
これらのプログラムによって生じるあらゆる損害・不利益について、作者は
一切責任を負いません。
作者はこれらのプログラムに不備があっても、それを訂正する義務を負いません。
更新履歴
2017/8/12 ver. 0.6.4
・CR2形式の処理アルゴリズムを更新(EOS 6D mk2対応)
2017/4/19 ver. 0.6.3
・RAF形式のCFA処理アルゴリズムを更新(X-T2対応)
2016/5/21 ver. 0.6.2
・X-E2 (Frimware ver.4) が出力するRAF形式ファイルで異常終了する不具合を修正。
2015/12/20 ver. 0.6.1
・エラーハンドリングの改善(エラー発生時のメッセージ表示等)
2015/8/2 ver. 0.6.0
・フラット処理時の基準明度をパーセンタイル点等で指定できるようにした。
・CR2処理時のDNGファイルからの取得情報について、CFA情報も取り込むようにした。
・従来.net framework 2.0〜3.5用だったものを.net framework 4や4.5がインストールされているマシンでは、そのCLRを優先的に使うように変更した。
・CR2ファイルの対応機種範囲の改善
2015/1/18 ver. 0.5.2
・X-A1が出力するRAF形式ファイルで異常終了する不具合を修正。(暫定修正)
・静止コンポジット/マスタフラット作成、マスタダーク作成時の出力ファイルを
「名前を入力する」を指定した場合、拡張子を入力しないと強制的に.cr2が付加される
不具合を修正。(出力されるファイルの種類に応じた拡張子が付加されるように修正。)
また処理情報付加や各色分離を選択できないようUIを修正。
2014/12/19 ver. 0.5.1
・X-Pro1が出力するRAF形式ファイルで異常終了する不具合を修正。
2014/12/7 ver. 0.5.0
・RAF形式に暫定対応
・静止コンポジット/マスタフラット作成モードに、明度0ピクセルにRawメディアンフィルタを行う機能を追加。
2014/6/15 ver. 0.4.0
・CR2形式に暫定対応
・DNGファイルが持つ実質有効領域を他の形式でも使えるよう登録する機能を追加
2014/2/8 ver. 0.3.2
・RAWレベルメディアンフィルターを任意のCFAに対応するととともに、任意のサイズで指定できるようにした。
・メッセージの一部を日本語化した。
2014/1/26 ver. 0.3.1
・フラット適用処理のバグ修正
2014/1/26 ver. 0.3.0
・コンポジットモードに標準偏差範囲外除外、標準偏差範囲外中央置換を追加
・内部の値の保持方法を変更。
・その他UIのバグを修正。
2012/10/7 ver. 0.2.4
・平均コンポジットモードで全読み込みモードと逐次読み込みモードの閾値を設定できるようにした。
2012/7/14 ver. 0.2.3
・Adobe DNG Converter 7.1等で変換したDNGファイルを処理する際に異常終了する不具合を修正。
(ただしAdobe DNG Converterの設定でDNG1.3互換にしないと、読み込むアプリケーションによっては画像破損の警告がでる場合あり。)
・並列処理する最大スレッド数の設定機能を追加。
・DNG Converter Launcherにおいて強制的にDNG1.3で出力するように変更。
2012/5/3 ver. 0.2.2
・フォルダ選択においてドラッグ&ドロップに対応
2012/4/30 ver. 0.2.1
・ファイル選択においてドラッグ&ドロップに対応
2012/2/11 ver. 0.2.0
・多量のファイルをコンポジット処理するとき、ファイルの読み込みタイミングを逐次にするよう変更(中央値を除くモード)
2012/1/21 ver. 0.1.1
・読み込みファイル数が少ないときに異常終了する不具合を修正
2012/1/7 ver. 0.1.0
・ベータ版としてリリース(それ以前はα版の試作品)
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